?法人設立  資本金の金額が運命の分かれ道に

(H20.6月号掲載)

Q

現在まで個人商店として事業を行っております。業績が順調に伸びており、年の中途ですが、法人化したいと考えています。会社を設立するに際して資本金の金額をいくらにすべきか判断に迷っています。とりあえずその金額を1千万円前後とする予定です。資本金の金額を決めるにあたって税制面で考慮すべきことはありますか?

受付
A

かつては、会社設立に当たって株式会社は1千万円、有限会社は3百万円以上という最低資本金制度がありましたが、現在は廃止され自由に設定できます。
 資本金「1千万円」という金額は、消費税と法人住民税の「税負担の境界線」ともいうべき金額です。

1. 消費税における資本金1千万円の境界線

資本金1千万円以上の法人は「新設法人の納税義務の免除の特例」が適用されます。  

消費税の納税義務については、その基準期間における課税売上高が1千万円以下であれば納税義務がありません。法人の場合に基準期間とはその前々事業年度を指しますので、新設法人の場合、設立第1期目、2期目はそれぞれ基準期間がなく、納税義務がありません。

しかしながら、資本金が1千万円以上の法人については設立第1期、2期の各事業年度については納税義務があるものとして取り扱われます。これが「新設法人の納税義務の免除の特例」です。なお、資本金の金額はその事業年度開始の日における金額で判定します。  

従って、上記の特例の適用を受けないように設立当初の消費税の納税義務を免除されるためには、設立法人の資本金の金額を1千万円未満にする必要があります。

2. 法人住民税における資本金1千万円の境界線  

法人住民税は大きく分けると、法人の稼得した儲け部分に課される「法人税割」と、赤字であっても法人の規模に応じて課される「均等割」で構成されている税金です。ここにいう法人の規模とは期末資本等の金額や期末従業者数によって判断されます。本稿では期末従業者数を五十人以下の法人を前提として説明します。

法人住民税では、資本金の金額が「均等割」の課税に影響します。姫路市に本店を置く法人は、法人県民税と法人市民税の納税義務があります。兵庫県と姫路市が課す法人住民税・均等割の税率を資本金1千万円前後に適用される部分だけに着目すると次の通りです。  

区分 均等割の税率(年額)
資本等の金額 兵庫県 姫路市
1千万円を超え1億円以下である法人 55,000円 156,000円
1千万円以下の法人 22,000円 60,000円

資本金が1千万円以下である法人であれば、法人県民税では2万2千円、法人市民税では6万円の均等割が課されます。これに対して資本金が1千万円を超えると、例えば資本金を2千万円とすれば、それぞれの均等割税額は5万5千円、15万6千円です。その差は12万9千円です。繰返しになりますが、法人住民税均等割は赤字であっても課される税金ですので、資本金をいくらにするかで、納める税金が12万9千円も変わってくるのです。  

以上、税金を中心にして資本金設定額を考えてみましたが、そもそも資本金は事業の元手となるべき金額です。事業資金という本来の意味からもしっかり検討すべきです。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください(近畿税理士会 姫路支部)

http://www2.kinzei.or.jp/~himeji/