?追加経済危機対策〜贈与税の非課税枠を活用する〜

(H21.10月号掲載)

Q

世界同時不況への追加経済対策が決定されたそうですが、個人や中小企業に恩恵があるものがあれば教えてください

受付
A

去る6月19日に政府与党が決定した経済危機対策には、@住宅取得のための時限的な贈与税の軽減A中小企業の交際費課税の軽減B研究開発税制の拡充の3項目が盛り込まれました。この3項目のうち@の贈与税の非課税にポイントを絞って見てみます。

住宅取得のための贈与税の非課税
具体的には下記の通りです。

「平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、20歳以上の者が直系尊属である者から受ける自らの居住用家屋の取得に充てるための金銭の贈与については、当該期間を通じて500万円まで贈与税を課さない。この特例は、暦年課税又は相続時精算課税の従来の非課税枠にあわせて適用可能とする。」

暦年課税とは、1暦年(1月1日から12月31日)の間に贈与された金額に贈与税がかかる従来からの課税方法で、年間110万円の基礎控除が設けられており、これを超えた部分に対して金額に応じた税率(10〜50%)で課税されます。従って毎年の110万円の基礎控除に加えて、平成21年と22年の2年間にわたって500万円の非課税枠が増えるということになります。

相続時精算課税制度は、生前贈与した財産を相続財産に合算し、納めた贈与税の額を相続税額から控除して“精算”する仕組みです。65歳以上の親から20歳以上の子供に生前贈与する場合に2,500万円の特別控除の適用があり、その控除後の部分に対して一律20%の贈与税がかかります。

住宅取得又は増改築の場合は65歳未満の親からの贈与でも適用でき、特別控除額も3,500万円になります。従ってこの相続時精算課税制度を使う場合は4,000万円まで贈与税が非課税となります。

 

ここで注意しておきたいことが3点あります。
第1に、「贈与者(贈与する側)」です。相続時精算課税は、基本的には「親」からのみで祖父母からは贈与を受けられないということになっています。これに対して追加経済対策の500万円は「直系尊属」からの贈与に対して適用されます。「親」からでも「祖父母」からでもOKということです。
第2に、相続時精算課税は両親それぞれからの贈与に適用できるので、例えば母親から3,500万円、父親から3,500万円、合計7,000万円の贈与を非課税で受けられるのに対して、追加経済対策の500万円は両親や祖父母すべての直系尊属からの贈与を合計して500万円まで、ということです。
第3に、追加経済対策の500万円を現在支払い中のローンの返済に充てる場合には適用されないということです。住宅ローンの返済は「居住用家屋の取得」にはあたらないためです。

この500万円の非課税を有効活用するには、@親からの贈与について相続時精算課税で4,000万円の非課税を使う、A親からの贈与について相続時精算課税を使わずに、暦年課税で500万円の非課税を使う、B祖父母からの贈与について暦年課税で500万円の非課税を使う、などの使い方が考えられます。ただし相続税がかかると思われる場合において、@のように相続時精算課税を使ったときは、贈与税はゼロとなりますが相続対策にはならないことにご注意ください。

詳しいことは、税務の専門家である税理士にご相談ください(近畿税理士会 姫路支部)

http://www2.kinzei.or.jp/~himeji/